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ゴーストハントの世界へ行っちゃった

第1章 気がついたらユーレイが見えるように!?


翌日、出勤した私はその日1日予想もしなかった最悪な1日を過ごすこととなった。
まずそれが起きたのは、営業で顧客の家に行った時だった。いつもの顧客慣れたもので、インターフォンを押すと出迎えてくれた60過ぎの女性。おっとりとした性格で、ニコニコと笑顔が絶えない素敵な女性だ。1週間ぶりの訪問であり、女性の足元に可愛らしい子犬。おそらくチワワがいた。女性の足元にちょこんと座っており、私と目が合うと尻尾を振ってまるで歓迎してもらえている気持ちになってほっこりする。

「先週ぶりですね。高橋さん子犬飼われたんですか?」

「犬…?いえ、飼ってないけど近所のわんちゃんかしら?」

その発言にギョッとして彼女の足元をみると確かにいる可愛らしいワンちゃん。顔を上げると、近所の犬の声が聴こえたと思っているらしい高橋さんは耳をすませている。

「そ、そうなんですね。あんまりにもはっきり聞こえたもので…失礼しました。」

正直、認めたくはないがあの可愛らしいワンチャンは私にしか見えていない、少なくとも高橋さんには見えていないらしく取り得ず何もなかった…何もいないフリをして始終集中できないまま高橋さん家を後にすることとなった。

それからは地獄の様だった。トイレの便座から手が出ていたり、立ち寄ったコンビニに雑誌コーナーで外を凝視している血塗れの女だったり…何よりも怖かったのは同僚に後ろから覆いかぶさる様にして抱きついている女だった。

「っっっつ。」

まさか叫ぶわけにもいかず、その同僚が隣を通り過ぎるまで固唾を飲んで立ち尽くす。同僚は上司を何かを話しながら通り過ぎて行ったが、私はそれよりもくっついている女性がすれ違い様に呟いていた言葉に冷や汗どころか気絶したい気持ちでいっぱいだった。

近づいたら殺す。

そう呟いたのだその女は。アレは私に向けられた言葉だと思う。何よりも目があったのだ…覆いかぶさっていて目どころか顔が見えなかったその女がすれ違い様、顔をあげたかと思ったらぎょろっとした目がこちらをハッキリと見ていた。

彼らが見えなくなった瞬間に私は、ロッカー室へと駆け込むと自分のロッカーを背にずるずるとしゃがみ込む。

「ありえない…。」

なぜ、急に見える様になったのか。平和だった日常が崩れ去るような感覚にその日は早々に仕事を切り上げると足早に家路へと着いたのだった。
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