第1章 不死川実弥との出会い
これで会話は終わりだと思い席に戻ろうとしたら
「いつも金曜日勉強してるよなァ」
まさか話しかけられるとは思っていなくて少し驚いたが
「...帰ってもやることが無いので」
「何の教科勉強してるんだァ」
「数学です」
「そうかァ」
それだけ言うとまた本棚に目を戻した
今度こそ終わったと思い席へ戻り参考書を広げる
やはりどうも二次関数の応用が苦手だ
ずっとここで止まってしまっている
どうしたものかと頭を捻らせているとコミックのコーナーからでてきた彼が隣の椅子を引き腰を下ろした
何事かと思い驚いていると私が広げていた参考書を手に取り
「どれが分からないんだァ」
「えっ?」
一瞬なんのことか分からなくて目を丸くして彼の顔を見つめた
「ハンカチの礼に教えてやらァ」
早くしろと催促してくる
おずおずと人差し指で指し示すと眼鏡をかけて解説を始めた
かなりと驚いたが分からなくて困っていたので大人しく解説を聞くことにした
「〜〜だ、わかったかァ?」
「あぁ!そういう事か」
ずっと解説を聞いていたが本当に分かりやすかった
下手したらそこら辺の教師より上手いかもしれない
その後も付きっきりで教えてもらったためいつもより早く終わった
「やりやぁ出来んじゃねぇか」
「解説が上手いからですよ」
「褒めてもなんも出ねぇぞォ」
「別にそんなんじゃないですよ」
こんな軽口を言い合っているが思えばまだ名前も知らない
「あの...名前」
「そういやまだ言ってなかったな...2年の不死川実弥だァ」
不死川...どこかで聞いたことがあると思って記憶の引き出しを探りようやく思い出した
以前クラスの女子が1つ上にイケメンな先輩がいると騒いでいて、その先輩の名前が確か不死川だった
確かに顔は整っていて女子がイケメンだなんだと囃し立てるのも無理はない
「お前はァ」
「1年の四季川冬華です」
「四季川...よろしくなァ」
「こちらこそ」
宜しくするほどの関係を築くのだろうかと思いながら愛想良く笑顔を向けた