第1章 噴きあげ!
「おいおい、煉獄ぅ、帰ってくんなら連絡しろって言ってんだろ…って、?」
「う、うう宇髄先生?!」
ひょっこりと廊下から顔を出したのは宇髄先生だった。
いつもは下ろしている髪を1つにまとめて、大きな額当てをしている。
「お前…とうとう生徒をお持ち帰りか?」
いたずらっぽく子供みたいに宇髄先生は笑う。
「人聞きが悪いぞ宇髄!!大体、お持ち帰りしてくるのは君の方だ!」
「で?なんでを連れてきたんだよ」
宇髄先生に上からじっと見つめられると自分が小動物になったような気分になり少し怖くなる。
それを察したのか、煉獄先生は私の肩を引き寄せてきた。
「家が浸水して、親も海外に出張中だから引き取ってきたんだ」
「ほぉん…まぁ良いんじゃねぇの?」
あっさりとOKをくれて私は胸を撫で下ろした。
そのままリビングに通される。
「うげっ!何ですかこれ!」
「何って、リビングだが?」
「そうじゃなくて!」
玄関とは違って、リビングは酷い有様だった。
宇髄先生のスケッチの失敗作が床に散乱し、その上に煉獄先生の授業で使っているのであろう参考書が山積みになっている。