第1章 異変
「ふふふ、私達が気になりますか? ならば答えましょう! 私は愛と驚きを届ける、あなたの日々樹渉です!」
そう自己紹介を始めた渉さんは、どこに仕込んでいたのか、大量の薔薇を撒き散らした。
「まったく、片付けは自分でやりたまえよ渉。というか、どこにそんなもの仕込んでいたのかね?」
「私はいつでも皆さんに愛と驚きを与えられるよう、こんなことがあった時の為に準備してあるんですよ」
「全く、僕には理解できないのだよ……。あぁ、自己紹介だったね。僕は斎宮宗。これで満足かね?」
はぁ、とため息をつき、うっとおしそうに薔薇の花びらを手で避けながら宗さんは軽い自己紹介を終える。
「まぁ、宗兄さン。そこは師匠のいい所でもあるかラ。多少は許してあげてもいいんじゃなイ?」
「あれは多少とは言わないのだよ。まぁ、あれで喜ぶ人は実際いるから、一概に悪く言えないのは僕もわかっているよ」
「それならいいけド。ともあれ、ボクも自己紹介しなきゃネ。お客さんを無意味に待たせるのはボク達にとって罪ダ。ボクは逆先夏目。よろしくネ」