第1章 異変
私たちは少しの恐怖と好奇心に息を飲んだ。
そしてそこから現れたのは……。
「ふわぁ、ふ。……ん? なんだか見覚えのない場所な気がするんじゃが……。一緒におらんかったはずの旧友たちもおるように見えるし。まだ寝ぼけておるのかのう」
まず黒髪に赤目の男性が。
何となく人とは違うような異様な雰囲気がある。
彼はどこかの制服を着ているようだ。
学生……、なのだろうか?
「あれ、零じゃないですか。なんでこんな所に……。って 私は保健室で眠っていたはずなのになぜこんな見覚えのない場所にいるのでしょう!? まさにAmazingですね!」
白に近い銀髪を長く伸ばした一見女性にも見える人物だが、大きな声は女性にしては低く、男性であることが分かる。
彼もまた、同様の制服を着ている。
「うぅん……、なんだか『さわがしい』ですね。『ほけんしつ』では『しずかに』しないと……。ん? ここは、どこでしょう……? れいとわたるもいっしょですね……?」
短い水色の髪の男性。
どことなく幼さを感じる口調だが、立派な学生のようだ。
「僕もいるのだよ。まったく、またおかしなことに巻き込まれてしまったようだね……。確か、手芸部の活動をしていたら急激に眠気を感じて、気がついたらこんなことになっていたのだよ」
ピンク色の短い髪に、やけにフリフリしたシャツを着ている。
何だか厳しそうな人だ。
「あぁ、宗兄さんもそうだったんだネ。なら、他の兄さん達もそうだったりするノ? 実際、ボクもそうだったわけなんだけド。あの3つしかない保健室のベッド、ボク達が占領してたんだネ」
赤い髪に内側と前髪の一部は白のメッシュで、髪の一部だけが長く伸びている。
不思議な髪型だが、彼にはよく似合うと思う。
ぞろぞろと、5人が顔を覗かせて勝手に喋り始めた。
何となく居心地の悪さを感じながらも、ここまできたからには最後の棺桶が開くのを待つことにした。
皆も同様なようで、そのまま棺桶から現れた人達と残りの棺桶を見守っている。
「ということは、ここにおるのは……」
彼らもまた、残された棺桶へと目を向けた。
と、ほぼ同時に唸り声がすると彼らと同じように蓋を開きその人は現れた。
「おはよう、あんずの嬢ちゃん」
あんずと呼ばれた少女は、その異様な光景に息を飲むことしか出来なかった。