第1章 異変
続いての鏡の中には、まるでサバンナを思わせるような景色が広がっていた。
寮生はほとんどが獣の耳としっぽを持っているようで、物珍しさについじーっと見てしまう。
そんなことをしていると、フラフラと寮の中から日焼けをしたような肌の獣人が現れた。
「あー、お前らがクロウリーの言ってた異世界人とかいう奴らか。俺はレオナだ。ここは百獣の王の不屈の精神に基づく、サバナクローだ。はぁ、ったく案内とかめんどくせぇな。……さっさとついて来いよ」
先程クロウリー学園長は、寮長が案内をしてくれると言っていたので、多分この人が寮長なのだろう。
真面目なリドルさんと性格がかなり違い、案内もかなり面倒くさそうにしている。
こんな人でも寮長になれるものなのか、と思っ
たがうちの学院にも楽譜をありとあらゆる場所に書きまくる問題児がリーダーのユニットがあった。
何だかんだ言ってその人はリーダーとしての器がある、と思う。もしかすると、彼もまたそういう器があるのかもしれない。
そんなことを考えていると、前から歩いてきた生徒が彼に声をかけた。
「レオナ先輩、朝練のことで話しがあるんスけど……。って、あんたらは確か」
どこかで見覚えがあると思ったら、ユウさん達を呼びに来たケモ耳生徒だった。
「異世界から来たんだと。今こいつらの案内で忙しいからまた後でな」
「っス」
レオナさんがやっぱり面倒くさそうに彼に返事をすると、なんの反論もなく彼は去って行った。
もし、急ぎの用であったら申し訳ないことをしてしまった。
「レオナくん、じゃったか。彼にはいつもあのような態度をとっているのかや?」
「……あぁ。なんか文句でもあんのか?」
「……そうか」
零さんが何かを考えるように、あるいは何かを思い出すような表情をしていたがすぐに気を取り直し、いつもの妖しげな笑みを浮かべた。
何が言いたかったのか分からないであろうレオナさんは、少し不機嫌そうな顔をしていた。