第1章 異変
学園長室を後にした私達はユウさんに連れられ、鏡舎と呼ばれる場所へと来ていた。
「この7つある鏡から、各寮へ行けるんです」
「鏡からですか? これは驚きですね」
鏡から行けるなんて前は有り得ない事だったので、みんな興味津々といった顔だ。
辺りを見渡すと、ちょうど放課後のようで寮に帰ってきた生徒達が次々に鏡の中へと姿を消していく。
本当は、私は着いてくる必要は無かったのだが、好奇心湧いたので同行させてもらうことにした。
さっき学園長の話の最中、ユウさんは顔が真っ青だったので少し心配していたが、今はなんの問題もなさそうだ。
「この中で、各寮の寮長が待っています。学園長は好きに選んでいい、と言っていましたし自分に合う所を見つけてください」
「ぼくは、ぷかぷかできる『ばしょ』があると『うれしい』です〜」
期待に胸を膨らませる彼らを見て、私も自然と口角が上がる。
「んじゃ、出発なんだゾ〜」
グリムさんの掛け声で、まず1つ目の鏡の中をくぐった。