第1章 異変
「ふぅ……、灰になるかと思ったわい」
彼らが去り、光が閉ざされると零さんはほっとしたようにため息をついた。
どうやらカーテンで上手く遮られていたようで今が真っ昼間ということに私達は気がつけず、生まれつき昼夜逆転の特異体質をもった零さんはダメージを食らってしまったようだ。
「これは、しばらく零は動けそうにありませんねぇ……。私達だけでも動きましょうか?」
「ぼくは、はやく『みずあび』ができるばしょを『みつけ』たいです……」
「ン〜……。そうだネ、奏汰兄さんもこのままじゃまた干からびちゃうかもだシ。こんな所にいてモ、何も変わらないしネ」
「しかし、彼らの意に反する行動は今は避けるべきではないかね。もし、ここが僕達が思うよりも広く複雑な構造なら、戻ってこれる保証がないのだよ」
「うーん、我輩も斎宮くんと同じ意見なんじゃがのう……。深海くんのこともそうじゃが、部屋の外がどうなのかも知りたいところじゃし」
私はふと思いつき、いっそれを入れている制服のポケットに手を突っ込んだ。
多分渉さんが仕込んでいた薔薇を持っていたなら、私も持っているはずだ。
私はそれを取り出すと、それまで上手く収まっていた棺桶を抜け出し、みんなに見せた。