第10章 ※まさかのエピローグ
16歳で家を飛び出し、21歳でアズカバンに収監。それからもずっと正体を隠しながら、不死鳥の騎士団員として暗躍してきた。
それが今、こうして自分たちの家を持って客人を招待できるようになったのだ。喜びもひとしおだろう。
「とにかく上がってくれ。丁度ハリーお手製のスコーンが焼きあがるところなんだ」
「ハリーお手製!?」
「それは楽しみだわ!」
「ああ、私が言うのもなんだが、大したものだぞ」
シリウスはにこやかに微笑み、ロンとハーマイオニーを通した――かと思えば、ドラコが一歩踏み込もうとした、その瞬間にぴたりと閉めた。
ゴン。
「……っ!?」
「え?何、どうしたの?」
今さっき通り抜けた玄関の扉を振り返りながら、ロンとハーマイオニーが怪訝な顔をしている。クリスははぁ、と短くため息をついた。
と同時に、扉の外から語気の強い声が聞こえる。
「おいシリウス、僕だけ閉め出すつもりか!?」
「気のせいだな。古い家でね、立て付けが悪い」
確かにシリウスの言う通り、家自体は古い。だがそれとこれは別だ。
再びドアが開き、ドラコが警戒しながら足を出した。
と、同時に――
バタン。
「クッ……」
「いやあ、風が強い」
「……っ嘘をつけ!どうせ僕にクリスを取られたから嫌がらせしているんだろう!!?」
「ああその通りだ!!私の可愛いステディを奪ったこの大悪党が!!」
この光景を目に、ロンは腹を抱えて笑い、ハーマイオニーは額に手を当てた。
ルーピン先生のお家で共同生活を送っていた時から喧嘩ばかりしていたが、戦いが終わり、クリスが再び正式にドラコの婚約者に変わってから、シリウスのドラコへの態度は悪化の一途をたどっていた。
――娘同然。それは冗談めかして使われていた言葉だったが、シリウスにとっては本心に近い。
戦いの中で何度も失いかけ、守り抜いた存在が、他人にかっさわれた。その事実が、理屈を飛び越えて理性を失わせていた。
まあでも“それ”も込みで楽しくやっているみたいだから、と、クリスは放ってロンとハーマイオニーをリビングに案内した。