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【ハリポタ】シリドラ劇場

第8章 ※最初の夜


「すまないね、こんな物しかなくて。だが、まだ酒は早いだろう?」
「一応、これでも成人済みだ」
「おっと、そうだった。だが、まだ酒が楽しいわけじゃない……だろう?」
「……フン」

 ブラックの台詞には、何か引っかかるところがあった。だがいちいち突っかかるよりも、こんなところに呼んだ理由が知りたかった。

「ハッキリ言え、何の理由があって僕を呼んだ?」
「まあ、その前に乾杯といこうじゃないか」
「僕は貴様と乾杯なんてする気は無い!」
「ははっ――ようやく気があったな」
「な……に?」
「私だって、貴様と乾杯なぞする気は無い。ルシウス・マルフォイの倅が!」

 ――嫌悪。それは紛れもない嫌悪だった。これほどの悪意を誰からも向けられたことのない僕にとって、この時のシリウス・ブラックの背後にあるただならぬ嫌悪感に、正直恐怖を覚えた。

「いいか、これはお願いではなく、命令だ。クリスから手を引け」
「そ……れは」
「ハッキリ言って、どうもクリスもリーマスも甘くていけない。私から言わせてもらえば、純血主義はどこまで行っても純血主義だ。黒いものが灰色になったところで、白いものと交われるわけじゃない」
「……貴様だって、僕と同じ純血主義の家系のくせに……」

 精一杯の抵抗を口にすると、ブラックはまるで獲物を捕らえた大型獣の様な目で僕を見た。
 その瞬間、そのまま肉を引きされるのではないかと言う幻覚が体中に奔った。しかしその恐怖とは裏腹に、ブラックはただあるがまま言葉を返しただけだった。

「そうだ、だが私はその純血主義を誰より憎んでいる。殺したって構わないほどに。それはクリスと同じだ。彼女が父であるヴォルデモートを殺したがっているのは知っているな?」

 「ヴォルデモート」という言葉がブラックの口から出てきた時、思わず恐ろしさで肩が震えた。その瞬間を、ブラックは見逃さなかった。

「クッ、クハハハハ!!ヴォルデモートの名前が出てきただけでこれか。どうやら君の覚悟とやらも大したことなさそうだ」
「うっ、煩い!煩い、煩い、煩い、煩い、煩い!!」
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