第10章 心の奥にあるものは?② トレイ・クローバー
「じゃあな、バイバイ」
「うん、またね」
夜の11時。
ようやく彼は帰った。
私は部屋の扉をすぐに締めて、もたれかかる。
ー…これ、外しに行かないと…
ペラリと自分でスカートを捲りあげて脱ごうとしてみるがビクともしない。
トイレにもいけないし、何よりもトレイにつけられた淫らな灯火がずっと私の中で揺らめいていたのだ。
私は外に出て鍵をかける。
そして今日2回目のインターホンを鳴らした。
「はい」
インターホン越しにトレイの声が聞こえる。
「…来たから速く開けてよ」
「あぁ、勿論だよ」
声が聞こえなくなったとほぼ同時にドアが開いて、目元のクローバーが見えた。
「おいで、」
ーあの…笑顔だ。