第10章 心の奥にあるものは?② トレイ・クローバー
胸騒ぎと期待。
疼いてたまらないこの火を消せるのはきっと目の前にいるトレイだけなのだろう。
心だけは持っていかれないようにしないと。
部屋の中に入るなり、私はトレイに横抱きに抱えられた。
「外してくれるだけでいいから、外したら私、すぐに帰るんだからね」
「はは、つれないなぁ」
夕方に家を訪ねてからずっと思っていたが、トレイは目の奥が笑っていない。
形だけの笑顔を顔に貼り付けて、笑っているように見せている。
その奥に何が隠れているのだろう…
私はゆっくりとベッドの上に下ろされる。
「見せてくれよ、お前が俺に着けられてるやつ」
向かい合う形でベッドの上に座り、トレイは目の前であぐらをかいて座り、意地悪な笑みを浮かべていた。
「や、やだ…」
「残念、じゃあそのままだな」
トレイの手のひらにはカギが握られており、私にチラつかせてくる。
こんなやつに身体を許したくなんかないのに、理性を揺るがす炎が燃え始めていて、正常な判断をしてくれない。
「わかった、捲るから、外してよ…」
私はベッドの上で膝立ちになり、スカートの裾を掴んで捲り上げた。
全身が発火していまいそうなくらいに羞恥で熱くなる。