第8章 花を手折る トレイ・クローバー
全身が気だるい熱に囚われて視界すらもぼやけてくる。
ゆっくりとベッドの上に下ろされるなり、トレイ先輩に唇を奪われた。
「んっ…ふ、んむ…」
ー今、トレイ先輩とキスしちゃってる…
トレイ先輩の少し分厚い舌が歯列を割って口内に入ってきて、私の舌を絡めとる。
舌先をつついたり、ねっとりと絡めたり、歯茎の裏を舌先でなぞられたりすると、さらに熱は上がっていく。
唇が離れると、混じりあった唾液が糸を引いていた。
「ふぁ…トレイ…せんぱい…こんなの、付き合ってないのに…らめ、れすよぉ…」
私を押し倒して上に覆いかぶさってくるトレイ先輩の胸板を押し返したくても力が面白いくらいに入らない。
「キスした後にそんな顔見せられたら流石の俺でも我慢できないに決まってるだろ?」