第8章 花を手折る トレイ・クローバー
不良は後ろを振り向くと、そこには恐ろしいくらいに優しい笑顔を浮かべたトレイ先輩がいた。
トレイ先輩の足元には不良の仲間達が伸びていた。
「カメラ壊してごめんな」
「ひっ、とっ、トレイ・クローバー…!ひぃぃぃぃ!!」
不良は伸びている仲間達に構うことなく、トレイ先輩の横を凄まじい速さで通り過ぎ、逃げていってしまった。
「大丈夫か?、」
「ひゃあっ!」
トレイ先輩が私の肩に手を置いただけなのに、甘い電流が走ってしまう。
「えと…あ〜…大丈夫では無さそう、だな」
「ひぅ…すいませ…」
トレイ先輩は気まずそうに視線を逸らして、頭を掻くと、大きく息を吐き出して、私を横抱きに抱えた。
「とりあえず寮まで戻って、俺の部屋に運ぶがそれでいいか?」
「は、はひ…らいじょうぶれす…」