第5章 薔薇を塗ろう② トレイ・クローバー
目の前にチーズとミートソースがたっぷりかけられたドリアが置かれた。
「私、チーズとか好きなんだよね!」
はドリアをスプーンですくい、口元に運んで口の中に入れ、ミートソースの味が口に広がった瞬間、胃から生ぬるい濁流が上がってきた。
「うえっ!げほっ、おえっ、う、げほげほっ…」
堪えられずにそのまま嚥下したものを美味しく食べられるはずだったドリアに戻してしまった。
は胸の奥が焼け付くような痛みと、胃のムカつき、急に吐いたことによって頭がガンガンと痛みを訴える。
美味しく感じていたはずのチーズは油っぽい泥の味がして、ミートソースは水を含んだ砂利を食べている気分だ。
「おい、大丈夫か…」
「こいつ、昨日もオレサマがあげたお菓子を食べて吐いてたんだゾ…」
グリムが悲しそうにしっぽを垂れさせて、耳をしゅんとさせる。
「保健室行ってくるね」