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 醒めない夢を 【短編集】【R18あり】

第5章 薔薇を塗ろう② トレイ・クローバー


「おい、お前、本当に大丈夫なのか?オレサマ、心配なんだゾ」

翌日、はグリムに扉の前で心配をされていた。
もうすっかり吐き気とかそんなものは感じなくなっている。

「大丈夫だよグリム。それに、グリムがいるから倒れても大丈夫!」

はグリムの頭をわしゃわしゃと撫でると、グリムは嬉しそうに笑って、喉を鳴らした。

「お前にはオレサマがいないとダメなんだゾ!ついてこい!」

グリムが勢いよく扉を開けると、目の前にトレイが片手に弁当箱を持って立っていた。

「トレイ先輩…!おはようございます」

トレイ先輩はニコリと微笑んで、おはよう、と返してくれる。
は胸が高鳴り、不思議と笑顔も綻ぶ。

「昨日、吐いたって聞いたけど…大丈夫か?」

「はい!もう大丈夫です」

「じゃあ、今日もこれ」

トレイは赤と白のチェックのナフキンで包んだお弁当箱をに渡す。
ずしりと重いお弁当箱を受け取り、ぎゅっとは抱きしめた。

「うふふっ、トレイ先輩のお弁当、ほんとに美味しくてこれ以外食べられなくなっちゃいそうですね」

目尻を下げては愛おしそうに笑う。
トレイは胸の奥に黒い炎が小さく燃え、ゾクリと悪寒が走った。
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