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帰るべき場所

第20章 仇討ち


 ザッと足音を立てて攻撃をかわしたサソリがイタチを睨む。イタチの名を出されて、シズクはクナイを構えたままびくっと体が硬直し攻撃が止まってしまった。
 駄目だ…イタチ様を巻き込んでは迷惑になる。
 サソリが仇なのは判明した。しかしこの先も会う機会はほぼない。だから自分から居場所を探り当て単独で攻撃する。これが仇討ちの在り方だ。
 イタチは何も言わず無表情を貫いている。そんな彼にサソリはため息をついて、シズクへ視線を戻した。

「いい子にしてな、オレはこれからひと仕事だ。帰ってきたら相手してやる」

 そう言い残してサソリはアジトを出て行ってしまった。そもそも任務前であまり時間がなく争う気はなかったのだろう。
 戸惑うシズクに、サソリを追って立ち去ろうとしていたデイダラが告げてくる。

「…旦那の肩を持ちたいワケじゃねえけど、旦那だけが悪いってのは違うだろ」

 その言葉はこの時点では理解が追いつかず、シズクの胸をもやもやと掻き乱した。

「お前…なんで自分の一族が狙われたのか考えた事あんのか、うん?」



 数日後、イタチからの説明で発覚した。彼は帰って来なかった。

「仇だったのに…急にいなくなるなんて……」

 こんなにもあっけなく姿を消した。その報告を聞いても全然気分は晴れなかった。それどころか益々悔しさと無念さが増し、後味の悪さが拭えなかった。
 そうか…イタチ様は最初からサソリが月の里を襲撃したことを知ってて…

「…イタチ様は……知ってたんですね…」

 だからサソリとの接し方が不自然だった時に反応していたんだ。
 無言でこちらを見つめ返す彼は否定も肯定もしない。そんな時大抵予想は当たっている。

「……なんで…」
「それを教えてどうする。お前に何が出来た?」

 あたしじゃサソリを倒せなかった。解ってるけどこの気持ちは…悔しい、情けない、申し訳ない気持ちはもう…行き場がない。
 がくんと膝から崩れ虚しさに包まれる。

「あたしは…生きてていいの…?」
「そのために俺がお前を拾った」

 穏やかだが力強く響く声がして、イタチの手がシズクの頭の上に置かれた。そのままあやすようにゆっくりとした動作で髪を撫でる。
















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