第19章 密会
まるで日課のようにサスケの修業する姿を見に来ている…
近くにいると知ったら、会えると分かったら、足が勝手にそこへ向かってしまう。顔を見たい気持ちが抑えられない。
ここは偶然の再会を果たした例の湖だ。忍んで外に出ている彼の姿を見るため、買い出しや修業と偽って毎日ここまでやって来ていた。イタチには内密での行動だ。
会話はほぼなかった。サスケは淡々と修業をこなす。シズクは声を掛けることもなくその様子を見守っていた。それでも嬉しかった。昔と違い人が変わってしまったかのような彼の冷たい雰囲気にまだ戸惑いはある。だがサスケは痛みを抱いているからこそなのだと、自分に言い聞かせ無理矢理納得している。
会った最初の日はあんなに口論したけれど、今はただ静かに、それぞれにこのひと時を受け入れていた。互いの立場は、進むべき道は解っていた。言い争いではきっと解決しない。あとはもう、ぶつかり合うだけだ。
それまでどのくらい会えるのか。そもそも次なんて保証はないのだ。お互いに定住しない身ゆえに、約束も安易に出来なかった。
サスケに会ってから、復讐に魂を燃やす彼を見てから、自分の家族を思い出す時間が増えた。
帰る場所を奪われた。突然何もかもを無にされた。何故両親が、里の皆が殺されなければならなかったのか分からず納得がいかない。けれど理不尽さと同時に複雑な思いがあるのも確かだった。
サソリに復讐すると言っても相手は強大だ。一切を捨てて、全身全霊を懸けて挑めるのか。どこかに迷いがあるのではないだろうか。
何故なら、サスケと自分とでは違いがある。サスケは常に復讐を考え行動しているが、自分はあの凄惨な事件から目を逸らし、その地を離れ、事件以外の事に目を向け生きている。
だから、そんな事をせずにイタチに仕えて日々彼の指示をこなす。それが自分のやるべき事ではないかとも思う。