第18章 再会
「時間だ。俺はそろそろ戻る」
不意に空を仰いで彼はそう告げる。急な別れの宣告にシズクは焦燥感が湧いてしまう。本心では、せっかく会えたのに待って、行かないでとすがり付きたかった。だがサスケは思ってもみなかった言葉を続けた。
「お前を連れて帰る…と言いたいところだが、俺は大蛇丸のアジトで過ごしてるからな、そうもいかない」
里抜け後大蛇丸の元へ行ったというのは本当だった。意外と現状を隠さずに教えてくれているようだ。
「時が満ちたら、お前を迎えに行く」
そんな風に考えてくれていたなんてシズクとしては嬉しいが、イタチの問題が残ってしまう。サスケと共にいようが離れていようが、二人が対立するのならやはり自分達は相容れず敵同士になる。
「俺は、イタチを倒す……絶対にだ」
シズクの思考を読み取ったようにサスケが念を押した。
「今回はお前に免じてあいつはまだ生かしといてやる。だが、俺が力を蓄え期が熟した時は…容赦はしない」
非情な目で言い切るとさっさと帰り支度を始める彼に、シズクは気持ちをこらえきれずに駆け寄った。
「サスケ…待って」
「お前は今この辺りで活動しているのか」
近付いたシズクにサスケが唐突に尋ねてくる。頷くと、彼は端的に今後の予定を告げてきた。
「大蛇丸は定期的にアジトを移す。移動まであと一週間ある。お前も…また来い」
行き先が同じこの湖なら、仮にこちらがアジトを移しても問題はない。
「場所が同じなら、来られるわ。あたしは記憶した場所へ空間を飛べるの」
「お前の能力か。俺はこの場所に今日と同じ時間にまた来る」
…また会えるんだ。
そう思っただけで先程までの焦燥は消え、シズクの心は満ち足りた。この綺麗な景色をしっかりと記憶に留め、また会いに来ようと決心した。
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