第18章 再会
だが物凄い速さで簡単に追いつかれ、目の前に立った彼に行く手を阻まれる。驚いて足を止め、相手の靴先を見つめることしか出来ない。
「久しぶりに会ったのに、逃げることないだろ…」
恐る恐る顔を上げたシズクと、サスケの瞳が互いを捉える。
「…シズク」
低く短く、でも確かに名前を呼ばれて沸き立つように胸が震えた。
「俺はお前に会いたかったんだぜ」
サスケはゆっくりと足を踏み出し、じりじりと距離を詰めてくる。
「里を抜けて以来だな」
言葉だけ聞けば久しぶりの挨拶のようだが、その声色には妙な威圧感があった。それに加えてサスケは口端を少し上げ薄く笑っている。その表情から彼の心は読み取れず、不気味さと冷たさしか伝わってこない。
木ノ葉で離ればなれになってから三年が経っている。外見や雰囲気が変わっていてもおかしくはないのだが、それは年を重ねた変化ではなかった。もっと根っこの部分、彼の中の本質的な何かが変えられている印象を受けた。
張り詰めた空気に気圧され後ずさるが、彼に肩を押さえつけられ背後の木の幹との間に挟まれる。
「今も、あいつの……あの男のもとにいるのか」
絞り出すようなその声には明らかに憎悪が感じ取れる。幹についていた手が次第に下がっていき、シズクの首元を捕らえた。
「…う…」
その両手に徐々に力が込められる。
「……サ…スケ…っ」
苦しくてやっとの思いで小さく呼ぶと、途端に手の力が緩められた。俯いて咳込むシズクの頬がサスケの手に覆われる。そのまま上を向けさせられ唇を塞がれた。溺れてしまいたくなるほど熱っぽくて激しい口づけだった。
「…会いたかった……」
まだ苦しい息を整えようとしていると、すがり付くように抱きしめられる。先程まで首を絞めていた同じその手が、今度はいとおしそうに背中に回された。
「会いたかった、ずっと……っ」