第18章 再会
イタチと鬼鮫が任務に出掛けて行く一方で、シズクはアジトで一日の大半を過ごす日常を繰り返していた。
サソリとはあれから全く接点が持てず、里壊滅事件の情報がないまま復讐も果たせずにいる。暁に関わる立場上、やたらな動きは出来ず機をうかがって時が流れていった。
この近辺には見事に何もなく、大きな森を越えた先にようやくひっそりとした村があり、ぽつぽつと数える程の店が出ていた。現在のアジトからの買い物はその村まで出掛けなくてはならない。最近は体力作りを兼ねて、飛ばずに歩いて買い出しに向かっていた。
たまには森の中を進もうと思い立ち、林道の奥へと歩を進める。木々の匂いは清々しく、また懐かしくもあった。
耳を澄ますと微かに物音が聞こえ始めた。これ以上進むのは危険だと脳が訴える。だが好奇心からか、この時何故かシズクの足は前へと向かっていった。
川のせせらぎが聞こえてきた頃、森が開けて美しい湖に出た。そして目の前の光景に息を呑む。
シズクの視線の先に、修業に打ち込む一人の忍の姿があった。その見覚えのある背格好からは昔の面影を感じずにはいられない。
…まさか……
確かめたくて震える足を何とか前へ動かし慎重に近付く。雰囲気はだいぶ変わっているのに、懐かしさに目頭が熱くなる。それは紛れもない、何度も会いたいと願ったサスケの姿だった。
しかし、何だか違和感が残る。身に着けているものも昔とは違うが、それ以上に彼の纏う空気が以前とかなり異なっている。妙に胸騒ぎがした。
本当は彼へ向かって飛び出していきたい気持ちだったが、シズクの体は本能的に恐怖を感じているらしく、足が全く踏み出せなかった。その場に隠れるように留まり様子を窺っていると、不意にサスケの動きがぴたっと止まる。
…気付かれた?
思わず身をひるがえして距離を置こうと駆け出した。予想もしなかった突然の事態、思わぬ彼の変化にどんな顔をして会えばいいのか分からなかった。