第17章 来客
「それにイタチに聞いた方が早いだろ、うん?あいつも大蛇丸と色々やってたしな」
そう返されてしまっては追及が難しい。イタチに聞けないからこうして探りを入れているのに。
「普段は出掛けていて、ほとんど一緒にいないので…」
聞けない理由を当たり障りなく伝えると、デイダラは真に受けて話の流れを合わせてくる。
「まあ…暁の連中は割と忙しいからな……サソリの旦那も色んな暗殺業請け負ってるし…」
「やっぱり、皆さん忙しいんですね」
「金が稼げるしな。ただ里だの国だのを潰すのはやめて欲しいね…目立つからな、うん」
暗殺、里を潰すという物騒な言葉に何気なく耳を傾けていたが、何かが引っ掛かった。
まさかとは思うが、有り得ない話ではない。にわかに思い浮かんだ疑念をぶつけてみる。
「月の里のこと…聞いてませんか?」
「オイラもいちいち覚えちゃいねーし…」
月の里を襲ったのは、サソリ…?
デイダラからははっきりとした回答は得られなかった。しかし里や国を落とすなどたやすい事ではない、暁ほどの忍でなければ成し得ない所業だ。何故今まで気付かなかったのだろう。
サソリが、あたしの仇……
そう思い込み、高揚していた気分が急速に沈んでいく。と同時に、腹の辺りから沸々と煮えたぎる思いが生まれてきた。
小さな集落を発見し一通りの用事を済ませる。その間中必死に記憶を巡らせたが、どう考えても暁の仕業としか思えなくなっていた。
心ここにあらずといった調子で店から離れるシズクに、デイダラが呼び掛けてくる。
「…おい、どこ行くんだ、うん?」
仇を取る。そのためにサソリの元へ向かう。鳥などで呑気に戻っている場合ではない。
自分の中で仇が判明した途端、今まで見ないように押し込めていた憎しみや悲しみが激しく沸き上がってきていた。それらを向ける相手がいるのなら、あとはぶつけるだけだ。