第17章 来客
空からの雄大な眺めは清々しく、爽やかな澄んだ風が心地良い。
「よく掴まってろよ、オイラの芸術品は速ェからな、うん」
デイダラの起爆粘土製の鳥に一緒に乗り、シズクは空から眼下の景色を楽しんでいた。
アジトでの生活が続き以前の日常をすっかり取り戻したある日の朝、珍しく来客があった。暁のメンバーであるデイダラとサソリだ。
アジトの内部に通すと二人は勝手気ままにくつろぎ始め、応対をしていたシズクにデイダラが興味を示してきた。
「…何だか、やっぱり意外だな、うん」
「部下ぐらいいたっていいじゃねえか」
「分かってないなぁ旦那、あのイタチに可愛い部下が付いてるってトコが意外な訳だ、うん」
シズクがイタチに仕えているのが解せない様子で、何度もじろじろと視線を送られる。
それは余りに突然の訪問だった。どうやら情報共有の為に立ち寄ったらしいが、息抜きも兼ねているようである。
今日買い出しに行く予定になっていたのでアジト内に大したものはなく、客をもてなす術がない。シズク達も新たな土地にアジトを移して来たばかりで、この周辺の様子をまだよく掴めていなかった。
そんななか上空から店を探そうと、デイダラが付き添い役を買って出たという訳だ。
「何だデイダラ、色ボケかましてんじゃねえぞ」
「ちょっと寄り道するくらいいいだろ、うん?」
サソリに口を挟まれながらも彼は外出の準備を始めた。
最初は緊張したが、空の遊覧があまりに心地良く気分が高揚したこともあり、シズクのデイダラへの警戒心は多少解けてきた。
大蛇丸は以前暁に所属していたはずだ。会話がないのも気まずいため、大蛇丸について尋ねてみることにした。デイダラの性格や人柄などは全く知らない。突っ込んだ話を持ち掛けるのは躊躇われたが、イタチの目を逃れてサスケに関する情報を聞き出せるチャンスだ。
「…大蛇丸?だったらサソリの旦那のほうが詳しいぜ。以前ツーマンセル組んでたからな、うん」
多少訝しんだものの、彼はあっさりと教えてくれた。