第15章 決別
「…上等だあぁーッ!!」
「やめて!!」
気付いたら足が、手が勝手に動いていた。我を忘れてサスケの元に駆け寄り、腕を回す。
「シズク…?どうした」
イタチに逆らったことなどなかった。彼の行動の邪魔をしたこともなかった。シズクは体が徐々に震えていくのを感じた。
「お前の仕事はナルトを捕まえておく事だろう」
この状況に微塵も動じず、イタチが無機質な声で告げる。
「…そこをどけ」
「…邪魔だ…シズク、どいてろ…っ!」
「いや!」
サスケも同様に言ってくるが、シズクは頑なに抱き着いて彼を庇う。しかし、一瞬の隙にイタチに腕を取られ引き寄せられてしまった。両手を握られて印も結べず囚われの身となる。
「くそっ…」
「動くな」
ふらふらと立ち上がるサスケにイタチが威圧的に呼び掛ける。
「今、何をしようとした?シズクを助けよう、とでも思ったか」
イタチは半ば抱きしめるようにシズクを自分の体に引き寄せた。
「シズクは元々俺のものだ」
その光景にサスケは唖然とした表情を見せる。
「…な……シズク、こいつ何言って…」
「……本当の事よ。あたしはイタチ様の手足…」
こうなったら誤魔化しは効かない。覚悟を決め、シズクは震える声で話し始めた。
「あたしは…イタチ様の命令で木ノ葉に来ただけ。元々木ノ葉の忍になるつもりはなかった」
「……スパイ、だったのか…」
「お願いだからイタチ様に手を出さないで。これ以上攻撃するのなら……あたしがサスケを止める。それが…あたしの役目だから」
最初は信じ難いといった顔をしていたサスケだが、次第にこちらを見据える目に光が戻ってきた。
「…本気……なんだな?」
彼の問いにシズクは微笑んで返事の代わりにした。このままではサスケがイタチにやられてしまう。今の彼ではイタチに到底かなわない。サスケをこの場から退かせる為にシズクは必死だった。