第15章 決別
「…ナルト君ごめん、やっぱり帰って…」
「おや、丁度良いタイミングでしたねえ」
目の前にイタチと鬼鮫が現れた。手筈通りだ。こうなっては逃がすことも出来ない。
「…ナルト君、一緒に来てもらおう」
「…こ、こいつらただ者じゃねーってばよ!サスケと同じ…」
ナルトは、サスケと同じく写輪眼を持つイタチにかなり動揺しているようだ。
「シズク、その子を捕まえててください」
突然鬼鮫に話を振られたシズクも、横で硬直していたナルト同様に驚いた。
「なっ…シズクちゃん!?なんで…」
鬼鮫が背負っていた鮫肌を抜き、状況が分からず混乱するナルト目掛けて振り下ろす。
「待って、鬼鮫さん!」
気が付くと、シズクはナルトを庇うようにして彼の前に出ていた。寸前で鬼鮫が彼女をかわし、刃先は足元の地面に突き刺さる。
「…どうしたというのです、何故庇う?」
訝しむ鬼鮫の後ろで、不意にイタチが首を少し横に向けて言った。
「……久しぶりだな、サスケ」
彼の視線の先を追うと、通りの向こうに憎しみの目をイタチに突き付けるサスケの姿があった。
「…うちは……イタチ…!」
サスケは険しい表情のまま声を絞り出す。
「アンタを……殺す!!」
音を立てて左手にチャクラを集め始めた。千鳥だ。
「サスケ…!だめッ…」
「シズク、ナルト…下がってろ!」
そのチャクラの激しさで周りの木々がえぐられ倒れていく。しかし渾身の千鳥を向けるも、その腕はイタチによって無傷で掴まれてしまう。
そこからは圧倒的な力の差、ただ、歴然とした差を見せつけられるだけだった。攻撃に移ろうとした手首を折られ、畳み掛けるように体術を浴びせられる。そこに反撃の余地はなく、道沿いの建物まで蹴飛ばされサスケは血を吐いて苦しむ。
「サスケェ!くそォ…」
鬼鮫によって動きを封じられているナルトも、元より手出しは出来ない状態だ。
壁にへたり込み動けないサスケだが、なおもその強い思いは消えないようだった。近付いて来るイタチに向かい、完全に理性を失った叫び声を上げる。