第13章 木ノ葉崩し
「…ナルト君は砂の忍のあとをつけているようです…」
中断していた報告を再開するシズク。
「大丈夫でしょうか?」
「…ナルトが九尾のチャクラを扱えるのなら問題はない」
そしてイタチは暁からの指令が下ったことをシズクに伝える。
「我々には九尾の捕獲命令が来た。お前にはナルトをおびき出して貰いたい」
木ノ葉襲撃の情報確認もあるだろうが、今回は指令伝達のために呼ばれたらしい。
「なるべく里の人間から引き離せ。二人だけで里から出られればベストだ」
「…分かりました」
先程ナルトの安否を心配したばかりなのに、結局自分達の手で彼を危険にさらすのか。木ノ葉で過ごし里の人々の人柄を知ってしまった今、かなり複雑な気持ちだ。
捕獲……手荒な真似はしないで欲しいけど…
俯くシズクに更にイタチが告げてくる。
「今はまだ里に戻らないほうがいいだろう。大蛇丸の手の者がそこら中にいる。返り討ちに遭うぞ」
そうだけど、サスケの事も心配だし落ち着けない…
「では私は少し私用で出掛けます。シズク、後で私が送りますから、それまでここにいて下さいね」
鬼鮫にまで釘を刺され、仕方なくシズクは木ノ葉へ戻るのを諦めた。
久しぶりにイタチと二人きりになり何だか妙に緊張してしまう。
「シズク」
不意にイタチが口を開いた。
「お前は…あの時俺についてきた事を後悔しているか?」
予想もしなかった質問をされてシズクは少し戸惑ったが、正直に本心を話し始めた。
「いえ…あたし、あのままだったらダメになってた…今は生きてる感じがするんです」
イタチが自分を救ってくれた。彼がいなかったら、きっと生きる事に価値を見出せなかった。
「あたし…イタチ様に会えて、一緒に過ごせて幸せです。心からそう思います」
「…そうか」
イタチは静かに短い返事をしただけで、それ以上尋ねる気はないようだ。巻物を取り出し読み物に耽り始めてしまった。シズクは微笑んでその様子を見つめる。