第13章 木ノ葉崩し
中忍試験第三次試験本選、サスケと我愛羅の試合の真っ最中にそれは起きた。
試験会場全体を砂隠れの暗部の幻術が覆い尽くし、客席にいた者を襲う。火影は風影に連れられ物見やぐらの上に姿をくらました。火影襲撃…木ノ葉崩しだ。
シズクは一人こっそりと試合の観戦に来ていた。
この本選、見に行くと決めていたサスケは勿論、ナルトにも期待していた。彼の真っ直ぐで諦めない姿勢は、見る者の心を動かす。応援したくなるし、見届けたくなる。そう思わせる不思議な力を彼は持っている。
一方サスケも見る者を驚かせ、魅了する強さを持つ。この試合でも皆の期待を裏切らず新技を鮮やかに披露していた。彼の成長した姿が、準備期間中の修業が辛かっただろう事を想像させる。
サスケ…また強くなった。あなたが強さを求めるのは、やっぱり復讐の為なの…?
そんな中、突然の幻術から事態は動き出した。木ノ葉の上忍達同様シズクもすぐに幻術返しをして、客席にうずくまるフリをしていた。辺りではカカシ達上忍が砂や音の忍達と戦っている。
これは…木ノ葉が襲撃されてる…どうして…?
サスケはどうやら、この騒ぎに乗じて会場を去った我愛羅達を追って行ったようだった。気になったシズクがすぐにも彼のあとを追おうとした時、上空を一羽の鳥が舞った。イタチからの連絡である。
…こんな大変な時に呼び出し?
暁の、というよりイタチの命令はシズクにとって絶対であった。ナルト達がサスケを追って行くのを確認した後、シズクもこっそりと会場を出る。
里のそこかしこに砂や音の忍が入り込んでいた。しかも会場を出た時からずっと追跡されている気がする。
…これ以上ついて来られるのはまずい…
撹乱し敵を巻こうとわざと不規則に進み、その位置を頭に入れながら回避ポイントを用意する。あえて追いつかれそうになるようスピードを調節して、敵が攻撃を仕掛けてきたところを避けていった。
「なっ…何処へ!?」