第12章 木ノ葉病院
「ああ、もう平気だ」
「…よかった…!」
本当は倒れた姿を見た時から不安でいっぱいで、気が気ではなかった。抑えきれずにサスケに腕を伸ばす。彼も抗う素振りなどは無く受け入れてくれる。
抱き合う二人の様子に観念したのか、カカシは静かに病室を出て行った。それを待っていたようにサスケがシズクを抱きしめたままの体勢で、耳元に小声で話し掛けてくる。
「…大蛇丸ってヤツに呪印を付けられた」
余り口外出来ない話だということだろう。周りを警戒しながら彼は続ける。
「たまに呪印の力が暴走するらしく、その力に飲み込まれると死ぬ。だからそれを抑える為にカカシに封印してもらってたんだ」
不穏な内容を告げられて驚いたが、カカシが対処してくれたようでひとまず安堵する。
「俺はこれからカカシと修業に入る。集中するから、森に来てもしばらく会えないと思う」
第三次試験本選に駒を進めたサスケだ、当然準備や調整期間が必要となる。会えなくても不満などある訳がない。今一番強く感じた気持ちはひとつだけだった。
「あたしは…サスケが無事ならそれでいい」
彼の胸に擦り寄ってぽつりと呟くと、すぐ近くから視線を感じた。顔を上げるとサスケと目が合う。その瞳は柔らかい色を湛えていた。
「…お前のほうは大丈夫なのか?」
これ以上シズクを不安にさせない為か、サスケは話題を変えてきた。
「深い傷なのか?見せてみろ」
自分を庇った傷が気になるらしい。だが背中の傷は簡単には披露出来ない。
「…やだ」
「なぜだ」
「服脱がなきゃ見せられないから」
その返答にしばらく考え込んでから、彼ははっとしたように口を開く。
「ってことは、あいつらの前では脱いだってことか…?」
「え…だって、じゃなきゃ手当て出来ないし…」