第10章 君と見たい未来
ひなこside
一日中…
必死に泣くのを我慢していたから
突然目の前に現れた大倉さんに
涙腺は簡単に崩壊して
勢いよく泣き出した私に
驚いた大倉さんは
慌てて私の手を引き家の中に入ると
子供みたいに泣きじゃくる私を
何もいわずに抱きしめて
慰めるように
私の背中を優しくトントンと叩く
でも
私に触れる手や
背中を叩く優しいリズムに
涙は余計に溢れて止まらなくなる…
長い時間泣き続け
落ち着いたころには
1時間もたっていて
なんだか恥ずかしくなって
「すいませんでした…
もう大丈夫ですから…」
そう言って
離れようとすると
「何で…?」
そうぽつりとつぶやく声がして
大倉さんの顔を見つめると
少し怒ったように
でも少し悲しそうに私を見つめていて
「笑った顔が見たかったのに…
何で泣いてんねん…」
そう言って
私の体を引き寄せると
ぎゅっと痛いほどに抱きしめた…