第10章 君と見たい未来
ひなこside
つらいことがあった日ほど
仕事の忙しさに
ありがたみを感じる
だって仕事をしていれば
余計なことを考えなくて済むから
でも仕事が終わって
現実に戻ると
1日働いた疲れと一緒に
辛い現実がじわじわと体を蝕んで
家にたどり着く頃には
朝冷たい水で食い止めた涙が
我慢できずに溢れ出しそうになる…
やっとの想いで
家にたどり着いてエレベーターに
乗り込んだ時には
必死に食い止めていた涙は
もう限界を迎えていて
今にも泣き出しそうな自分を
誰にも見られたくなくて
エレベーターを降りて
家までの廊下を必死に走り
鍵を開けてほっとした瞬間
「ひなこ?」
そう不思議そうに
私を呼ぶ声と一緒に
私の肩に触れた手に
必死に堪えていた涙は
堪えきれずに溢れ落ちてしまった…