第8章 過去と痛みと現在と
体はクタクタに疲れてんのに
何故か眠れなくて
何度も寝返りを打ってると
扉が開く音がして
ベッドがギシっと音を立てて
俺の背中に細い腕が絡みつく…
昔の俺ならそれだけで嬉しくて
すぐにでも振り返って
抱きしめて…
アホみたいにかなさんを
求めてしまってたと思う…
でもなぜか今の俺は
絡みつく腕に気付かないフリをして
静かにそっと息を吐き出している…
昔の俺も
今の俺も
かなさんを好きなことに
変わりはないはずやのに
どうしてこんなにも
違うんやろう?
側にいて欲しいのに
側にいられると息苦しくて
矛盾した気持ちが
体の中で暴れてて
細く絡みつく腕が
身体中を縛りつけて
身動きさえ取れなくて…
そんな夜に思い出すのは………