第8章 過去と痛みと現在と
丸ちゃんからのLINEを読み終わり
気付かないうちに
ギュッと握りしめていたスマホから
手を離すと
身体中から力が抜けて
ポロポロと涙が溢れ出してくる…
バカだなぁ…私は笑
ちゃんと分かってたはずなのに
この幸せな時間が
長くは続かないってことを
ただ
大倉さんを笑顔にしてあげたくて
ただ
大倉さんの震える肩を抱きしめて
あげたくて
ただ
大倉さんの泣き顔を見たくなくて
ただ…ただを繰り返して
言い訳しながら
本当は私自身が
大倉さんの側に居たかった
だけなんだ…
住む世界が違う人だから
きっと長くは側にいられない
そう頭では分かっていたのに
いざ離れるときが来たら
こんなにも苦しくて仕方ない…
今大倉さんは
大好きな人の側で
幸せを感じてるのかな?
大好きだから
そうであって欲しい。
大好きだから
もう傷付かないで欲しい。
溢れ出した涙は
大好きだった分
なかなか止まってはくれないけど
この胸の痛みと引き換えに
願うことは
大倉さんの笑顔
それだけ…
たったそれだけを
心から願うんだ。