第8章 過去と痛みと現在と
寝不足でぼんやりした頭を軽く振りながら
仕事場に着くと俺の顔を見つけたとたん
丸が嬉しそうに近づいてきて
「昨日はひなこちゃんに
会わせてくれてありがとう。
大倉、あの子にやったら俺
大倉のこと譲ってもええよ笑?」
なんて…
意味不明に上機嫌に
彼女感を漂わせながら俺の周りを
跳ね回る…
嬉しそうに俺に笑いかける
丸の視線からそっと目をそらすと
丸は俺の顔を覗き込んできて
「なんかあったよね…?
それも良くないほうのことが…」
なんて今度は占い師ばりに
笑顔のまま鋭い言葉を投げかけてくる…
そんな丸に
「かなさんが…今俺の家におる…」
そう言った瞬間
丸は浮かべてた笑顔を顔から消し
怒ってるのか…
悲しんでるのか…
どちらとも言えない顔をして
俺の前にゆっくりと腰を下ろした。