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俺様主君といたずらな恋

第8章 過去と痛みと現在と


かなさんの言う言葉の意味も

笑顔もキスも何もかもが

俺には理解出来なくて


廊下で話続けるわけにもいかず

仕方なく家の中に招き入れ

かなさんから少し離れて

ソファーに腰を下ろすと


少し空いたその空間に

視線を落として


「やっぱり怒ってるよね…

私のこと…?」


そうかなさんは

悲しそうに小さく呟く…


本当なら

”当たり前やんか?"

”どれだけ俺が傷付いたと思うんや“


そんな言葉を

投げつけてあの日の俺と同じように

傷付けてやりたいのに


かなさんの悲しそうに

潤んだ瞳が俺を見つめてて


その目に見つめらると

胸がギュッと締め付けられて



「そんなんは昔のことやんか…

それよりかなさんは大丈夫?」


なんて…

薄っぺらいバカみたいな言葉が

口から言葉になって溢れ落ちていって


そんな俺にかなさんは


「忠義は変わらないね…笑?

いつも自分のことより

私の心配をしてくれて…

そんな苦しくなるぐらい

優しいところが

私は大好きだったんだよなぁ。」


そう言って笑いながらかなさんは

ソファーに置かれてた俺の手に

自分の手を重ね合わせて


「忠義…

もう一度…私とやり直してみない?

今なら私たちきっと

上手くやれると思うんだよね…?

私が忠義を

幸せにしてあげるから」


なんて

甘く甘美な言葉を俺に囁く…



その甘い毒は

俺の耳から



身体中に流れ落ち

ゆっくりと感覚を麻痺させると


俺の中から

すごく大切なものを

奪っていった…
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