第8章 過去と痛みと現在と
ひなこの家を出て家までの帰り道
いろんな表情のひなこを思い出して
つい顔がにやけてくる…笑
さっき別れたばっかりやのに
もう声が聞きたくなって
マンションのエレベーターの中
ポケットからスマホを取り出して
コール音を聞きながら
エレベーターを降りて
家の扉に向かい歩き出すと
なぜか我が家の前に
うずくまる人影が一つ…
「もしもし…大倉さん…?」
電話の向こうから聞こえてくる
ひなこの声に
「うん…」
と短い返事をしながら
ゆっくりと人影に近付き
家の扉の前に立つと
うずくまっていその人は顔を上げ
ゆっくり立ち上がると
「ただいま…笑」
そう笑顔で言うと
ふわりと俺の体を抱きしめた…