第4章 おもちゃがおもちゃでなくなる日
ひなこside
そうすることが当たり前かのように
家にごはんを食べにきたり
外で待ち合わせをしたり
大倉様に会う回数が少しづつ増えて
もう嫌がることにも疲れて
二日前に突然言い渡された
今日の待ち合わせにだって
待ち合わせの10分前に到着し
しっかり待ってしまっている
自分がいる…笑
人混みの中大倉様を待ちながら
キョロキョロと辺りを見回していると
待ち合わせ場所から少し離れた場所で
こちらを見ている大倉様を見つけて
なぜだかそこから動こうとしない大倉様に
電話をかけた…
コール音が止まっても
無言のままの大倉様に
「どうしたんですか…?」
そう声をかけると
「ごめん…行かれへんわ…」
そんな短い言葉を残して
電話はすぐに切れてしまって…
こちらに背中を向けたまま
その場に崩れ落ちるように座りこんだ
大倉様に走り寄り
「大倉さん…?」
そう後ろから名前を呼ぶと
ゆっくりと顔を上げ振り返った
大倉さんの顔は
涙でぐちゃぐちゃに濡れていて
苦しそうに息を吐き出す
大倉さんに近付き
「大丈夫です…
大丈夫…大丈夫…」
そう言って
手を伸ばして小さくガタガタと
震えている体を抱きしめると
抱きしめるた腕の中で
大倉さんの吐き出す
小さな嗚咽が聞こえてきた…