第4章 おもちゃがおもちゃでなくなる日
大倉side
どうしてなんやろう…?
苦しくて…
息もできなくて…
その場にうずくまった俺に
ひなこは息を切らして
かけよってきて…
"大丈夫…”
そんな安易な言葉を
何度も繰り返しながら
俺の頭を抱き寄せて
腕の中に閉じ込める
抱きしめられた
ひなこな腕の中は
すごく暖かくて
胸に押し付けられた耳には
ひなこな心臓の音が
ドクンドクンと聞こえてくる
その音を聞いていると
不思議と
乱れていた呼吸が
少しづつ整って
あんなに苦しかった胸から
苦しさが遠のいていく…
「もう…大丈夫やから…」
そうぽつりと呟くと
「本当に…?」
そんな不安気なひなこの声が聞こえて
「ほんまやって…笑
このままでもいいけど、
俺の好みはもうちょっと大きい方が…」
そう言って笑うと
慌ててひなこは俺から離れて
「何を…言ってるんですか…!?
ちょっと油断するとそう言うことを…汗」
なんて自分から抱きしめたくせに
持っていたバックで必死に胸元を隠す…笑
そんなひなこの手を捕まえて
「なぁ…お腹すいたからさぁ…
ごはん作ってくれへん…?」
そう言うと
ひなこは笑って…
「いいですよ…
私がお腹いっぱい食べさせてあげます…」
そう言って
俺の手をギュッと握り返した…