第3章 新しいおもちゃ
あの日から数日
"もう
私に近づかないで欲しい“
そんな私のささやかな願いを
知る由もなく…
職場から家までの帰り道
容赦なく
"大倉様“の文字を映し出すスマホに
足を止めため息を吐き出しながら
見なかったことにするべく
カバンにスマホを戻し
また歩き出すと
それを邪魔するように
私の肩に誰かの手が触れて…
いやいや…
まさかね…笑
今は会社からの帰り道で
こんなとこに
奴がいるわけがない…!
そう思うのに…
「おーい、ひなこ笑?」
そう私の名前を呼ぶ声は
間違いなく
私の大嫌いな
あいつの声で…涙
仕方なく
後ろを振り返ると
「今思いっきり無視しようとしたやろ…笑?」
なんてスマホを片手に
私に笑いかける
大倉様がそこにいたんだ…涙