• テキストサイズ

暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第14章 天下人の右腕は奥方の兄


『勝手にしろ!』

「わかりました、勝手にします。」

『き、貴様っ。』

「なんですか?私は悪いことはしていないはずです。信長様がよくわからないことを仰っているんでしょう?」

『っ!あさひ!』

「部屋に戻ります。」


あぁ。安土は嵐になりそうだ…
俺は天主の襖に手をかけられずにいた。

『出直すか…』

『そうですね。』

三成と共に踵を返した矢先、天主の襖が開いた。

「秀吉さん、三成くん。」

『あ、あぁ。あさひ。どこか行くのか?』

「部屋に戻るの。わからず屋の信長様何て知らない。」

『あさひ、今なんと申した!』


あぁ。不味い。不味いぞ。あさひ。
なんだかわからないが、謝ろう。な?


「わからず屋の信長様は知らないって言ったんです。」


…あさひ。

『な、なぁ。あさひ。何があったんだ?落ちて話してくれ。』

「…やだ。」

はぁ?

「信長様に聞いたら?」

あさひは、そう言うと針子道具と風呂敷を抱えて、俺と三成の前を去っていく。
…聞けるわけがないだろうが。
肌を突き刺すような気配を感じる。

『あさひ、待て。』

『…秀吉。かまうな。ほうっておけ。』

『…ですが。』

『放っておけと言っている!』

『は、はっ。失礼を…』

…光秀、どうして今いないんだ。
後ろを見れば、凍りついた表情の三成がいた。

『秀吉、三成。』

『『はっ。』』

『何かあったのか?』

『あっ、はい。新しい領地の治安や状況報告が…』

『ふん。手短に話せ。』

『はっ。』

表情ひとつ変えない御舘様に向かって、報告をするだけで冷や汗が流れた。

『…以上です。』

『わかった。改善の必要のある部分は貴様に任せる。』

『承知しました。』

『…、なんだ?』

『は?いえ、…。』

『何か言いたげだな。』

『そんな、ことは。』

『貴様の妹のことか?』

え、聞いていいのか?

『…何かあったのですか?』

『さぁな。知らん。』

は?

『妹に聞けばよかろう。…下がれ。』

どっちなんだよ。

『…承知しました。』

終始、三成は一言も話さなかった。
そして、俺はいつもの事だが、いつも以上に彼奴の不在を腹立たしく思ったのだった。





/ 146ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp