第13章 嫉妬渦巻く仮装の宴 後編
『このきらきらと光る胸元は、どういうしかけですか?』
『『は?』』
「あ、えっと。きらきらする粉を塗ったの。」
『なるほど。触ってみても宜しいですか?』
『『なんでだよ!』』
『おまっ、三成!触るな!』
政宗と家康が声を揃えて盛大に突っ込むと、慌てた秀吉が止めに入った。
「触るのはダメだけど、じゃあ付けてあげる。」
あさひは鎖骨辺りを指で撫でると、ラメのついた指を三成の手の甲に付けた。
『なんと…、この手は洗えませんね。』
『三成、お前斬られるぞ?』
『はぁ、鼻血出す方がマシ。』
『御館様、申し訳ありません…』
政宗、家康、秀吉が、信長の方をチラチラと見る。
信長は、肩肘をつき、あさひから目を離さない。
『早く光秀さんのところいきなよ。』
「あ、うん。」
『…まったく。やりすぎだ。』
「そうですかね。…似合ってます?」
『あぁ、その上目遣いがそそられる。』
「もぉっ。」
『ただな、俺達の身が持たん。早く信長様に身請けしてもらえ。』
「え?」
ふぅ。と長いため息を信長がつき、
『皆、太夫は俺が身請けした。天守に戻る。』
『はっ。』
「え、身請け? 咲、なにそれ?」
咲くに助けを求めるが、咲は俯いたまま。
「え、なに?皆、どうしたの?
信長様、まだ宴続きますよね?」
『行くぞ、仕置きの時間だ。』
「えぇっ!やだ、政宗の料理食べてない!」
『あとで、摘め直してやる。』
「やだぁ、まだ仮装したい!」
『…貴様。』
信長があさひの腰を抱き寄せ、耳元で囁いた。
『これ以上、俺を怒らせるな。ここで仕置きされたいか?』
「あ、… はい。」
『では下がる。』
『ははっ。』
信長は、あさひを引き寄せ足早に天守に向かう。
その早さは普段と比べようがなく。
主と奥方がいない宴の席では、誰もが肩の力を抜いたのだった。
※
翌日ー。
『やっぱり、自分の着物が一番だな。』
『あぁ、丈が合うのが楽だな。』
『すいませんね、小さくて。』
『あれからあさひ様はどうされたのでしょう?』
『咲が着物を取りに行っていたが…、多分抱き潰されただろうな。』
『はぁ、ほんと迷惑。』
『でも、綺麗だったよな。あさひ。』
『兄様、惚れたか?』