第13章 嫉妬渦巻く仮装の宴 後編
『光秀、やめろ!』
『はぁ。今日は軍議あるんですかね。』
五人が広間に着く同時に、信長が現れた。
『さっさと始めるぞ!』
『のっ、信長様。あさひは…』
『動けぬ。抱き潰したからな。』
『はぁ、やっぱり。』
『さっさと終わらせ、天守に戻る。』
『は、はい!』
手際よく軍議を進め、光秀の報告がすんだ。
『よし、あとは秀吉に任せる。』
『えっ?』
『昨日もやっていただろう?』
『いや、あのっ。』
『天守に戻る。』
『おっ、御館様ぁ!』
『右腕は大変だな。』
『光秀さん、他人事ですね。』
『俺は、あさひの昼飯の用意でもするか!』
『じゃあ、俺は疲れの取れる薬湯作ります。』
『皆様、御優しいですね。』
『…、三成。手、どうした?』
『あ、政宗様。昨日あさひ様に付けていただいた光る粉が取れないようにと、布を巻きました。』
『お前…』
『三成、見せて。』
『は、はい。家康様。』
ゴシゴシ、ゴシゴシ…
『あぁっ!』
『お前、ずるいんだよっ!』
家康が三成の手に巻いていた布を放り投げる。
『我が主の奥方は困ったお方だ。』
光秀が、落ちた布を拾い、三成の頭にのせた。
来年の仮装の宴はあるのだろうか。
あさひの仕置きはいつまで続くのか。
安土はある意味、平和を取り戻す。
空は青く、季節はもうすぐ冬を迎えようとしていた。
完