• テキストサイズ

暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第13章 嫉妬渦巻く仮装の宴 後編


【広間】

『信長様!こちらに判を!』

『信長様、こちらにも!』

『あ、あぁ。いや、あのな。俺は…』

『信長様、越後への返書と共につける品は梅干しだけでしょうか?』

『あ、あぁ。…あ、ほら城下外れの茶屋の甘味に新作があったな。それもつけろ。信玄が喜ぶだろう。』

『はっ。』

『信長様、西に飛ばしていた斥候からの報告が。』

『あ、いや、俺は…、って光秀!』

『様になってるじゃないか、信長様。』

『やめろ!畏れ多い!…なぁ、信長様は知らないか?』

『あぁ。…政宗なら、厩にいたな。』

『はぁ?ま、まさか、遠乗り? ちょ、待て、お前ら!俺だ!秀吉だ!』

『は、秀吉様!』

『今、信長様を連れてくるから!』

『それでは、政務が進みませぬ!秀吉様で出来る政務をしてくだされ!』

『え?』

『ほ、ほらっ。判を押すとか!』

『あ、あぁ…』

『では、俺が遠乗りをご一緒しよう。まぁ、あの方は今政宗だからな。自由にされているだろうが。』

『それじゃ、困るんだ!っておい!光秀ぇ!』



宴まで、後二刻。
城内は、羽織の色で騙される家臣が本物を探し、成りすまして騙そうとする偽物に翻弄されていた。





【あさひ自室】

『本当にやるのですか?』

「うん。信長様に謝ったしね!咲だってそれっぽい羽織や着物、帯とか簪とか、張り切って用意してくれたじゃん!」

『そ、それは、そうですが。』

『さ、やろ!』

あさひは、手早く羽織を脱ぎ咲が用意した小袖に着替え始めた。
並んだ小袖や羽織、帯は普段身に付けることの無い雅で妖艶なものばかり。

『どこから探してきたの?』

『…遊廓の知り合いからです。』

「え、知り合いいるんだ!」

『…ご内密に。』

「あ、うん。咲、起こってる?」

『いえ、ただ。間違いなくお似合いですからね。殿方の反応が恐ろしくて。』

「大丈夫だって!…仕置きは受けるんだし。」

『はぁ。…はい、ではやるなら完璧に、です!
弥七、吉之助!』

「え、二人が何かあるの?」

『太夫は吉原遊廓最高位、着物もかなりの重さがあります。倒れないように弥七が肩貸しをします。吉之助は、傘持ち。』

『えっ。』

『俺たちもか?』

『お前達の着物も借りてきたから!』

「咲、やる気だね。」








/ 146ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp