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暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第13章 嫉妬渦巻く仮装の宴 後編


『大雨の洪水対策は?』

『はい、堤防を高めにしました。』

『じゃあ、上流の土の中の岩を堤防の堀にしたら?』

『なるほど!三成、あ、いや、家康様!よき考えですな!』

『あ、…うん。』

『武芸ともに秀でているお方ですが、三成様の羽織を羽織られるを輪をかけて聡明で…』

『…もう、いい。』

『ふっ。さて、昼にしねぇか?ほら、差し入れだ!』

『あ、ありがとうございます!』

ガサガサ… ガサゴソ…

『どうした?』

『…ない。』

『は?』

『三成の羽織だから、唐辛子ない。あぁ、くそっ。』

『ま、食え。山椒焼きとかがあるからな。』

『はぁ。もうやめたい。』

『そうかぁ、俺はここまで来る道沿いで町娘たちに声かけられて良かったぜ?』

『あんたはね。』

『お前もだろ?家康さまぁ!紫もお似合いですぅ!ってな。』

『…黙ってもらえますか?』

『まぁ、今日一日楽しもうぜ?』

『はぁ、面倒。』



【厨】


『おや、政宗殿!』

『あぁ、ご苦労。気にするな。』

『は、はい。』

足早に厨を探る青い羽織の信長。
隻眼のため、信長とわかるものがおらず、溶け込んでいる。

ガサガサ ガサゴソ

『無いな。あやつめ、どこに隠した。』

『何か探し物でも?』

『…。あぁ。信長様がな、金平糖を所望されていてな。秀吉がここに隠している瓶を探している。』

『金平糖…? 中身を見るな、と秀吉様に言われている壺ならありますよ。』

『真か。』ニヤリ。

『はい。野菜が置いてある笊おきの下です。布で隠れているでしょう?めくってみてください。』

『あぁ。』

信長は、言われた場所を探る。小さな坪が並んでいる。中身を見て、信長の口元が緩む。

カリカリ。

『ま、政宗様!それは信長様の!』

『ふっ、わしがわからぬか。』

信長は眼帯を外して見せた。

『えっ、信長様!』

『秀吉には言うな。この場所は知らぬ振りで通す。』

『はっ、はい。』

『ふたつほど、空き瓶はあるか?』

『あ、こっ、こちらに。』

信長は、空き瓶の一つに、全ての小瓶から均等に金平糖を移し八分目とし、二つ目は三分目とした。八分目の方を懐に隠すと、満足そうに、厨番の男に話しかけた。

『褒美だ。子供に渡せ。秀吉には言うなよ。』

信長は、厨番の男に三分目の小瓶を渡し青い羽織を翻した。



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