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暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第13章 嫉妬渦巻く仮装の宴 後編


その後、夜の宴まで城内は大混乱となった。
広間に続く廊下では、主君を探す家臣や城勤め達が右往左往している。




『秀吉様はどちらだ? この書類に署名がいるんだ。』

『あぁ。信長様の羽織を羽織られていた。広間にいらっしゃったぞ?』

『広間に? 確か、政宗殿と信長様だけだったが?』

『あぁ、だからその信長様が秀吉様なのだ。』

『は?…お前、疲れてるんじゃないのか?』

『なんでだよ?』

『だって、信長様の羽織を羽織られていたのが秀吉様?そんな馬鹿げた話あるか!』

『今日は、武将様達が着物を交換してるんだ。ほら見ろ、光秀殿を!』

『…なっ!家康殿の羽織、寸足らずだな。』

『それ、家康殿の前で言うなよ。』

『はぁ。じゃあ広間にいる信長様が秀吉様か。行ってみる。』

『あぁ、あっ!気を付けろよ、隣の政宗殿の羽織の方は信長様だからな!』

『はぁ?なんだよ、それ。わけわからんぞ?』





『家康殿、消毒用の酒が少ないので買い付けにいって参ります。』

『あぁ、普段はどのくらい買い付ける?』

『高い度数のものを50弱は…』

『そうか。では、此度は40。10は宴用の酒にする。買い付け終われば教えろ。』

『はっ。…宴用の酒?って、光秀殿!』

『あぁ。』

『家康、殿は?』

『治水工事の現場視察だ。三成の羽織を着ているぞ?』

『な、なぜ?』

『なぜだろうなぁ。あさひの考えは未知数過ぎて解りかねる。』

『奥方様の考え…?』

『さあ、酒の買い付けにいけ。』

『は、はい。帰ってきたら知らせろ。今日は一日、俺は家康だ。薬品棚や薬をみたい。』

『は、はい。』


『お、おい。いいのか?』

『何がだ?』

『あれは、家康殿の羽織を羽織られている光秀殿だぞ? 薬品棚や薬は見せていいのか?』

『あ、そうだな。でも…もう無理だな。』

『まぁな。相手が光秀様なら駄目とは言えないな。』

『…だな。薬品棚を確認しとけ。無くなるかもしれないぞ?』

『そうだな。家康殿に叱られないようにしなければ。
…だがな。何故羽織を交換してるんだ?』

『さぁな。奥方様の考えだそうたぞ?』

『奥方様…、失礼極まりないが。ややこしすぎて政務がはかどらん。』

『あぁ。全くだ。』









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