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暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第12章 嫉妬渦巻く仮装の宴 前編


『お前、中身は家康なんだからな。仕事は仕事だぞ。』

『はいはい、信長様。』

『おっ、俺は秀吉だっ!』

『政宗、よくこの隻眼で戦に出るな。慣れか。』

『えぇ、馴れと鍛練で死角はなく、気配で読めます。』

『なるほどな。秀吉、書簡整理だ。文を持ってこい。』

『ははっ。』

『政宗が秀吉を使う…、面白いな。さて、俺は薬の拝借といこうか。』

『いえ、光秀様。今日は、私と先日の忍の報告から今後の策を練るはずでしたよ? 今、報告書をお持ちします。』

『ふっ、そうだったか。』

家康の寸足らずの着物の裾をわざとらしく引き上げ胡座をかく光秀。

「光秀さん、膝見えてます…」

『おや、失礼。』

『わざとだな。』

『すいませんね。小さくて。』

『さ、皆、仕事だ!仕事だ!』

『『はっ、信長様!』』

『いや、俺は秀吉だ。』

『秀吉…、座れ。』

『なんだよ、政宗…って、あっ。御館様!』

「なんだかぐちゃぐちゃだねぇ。今日大混乱かなぁ?」

遠巻きに見る六人の姿にあさひは、この仮装を提案したことに些か後悔をしていたのだった。


『さぁ、次はあさひ様の準備ですよ?』

「あ、そうだね。では、信長様、みんな、また後で。」

『なぁ、あさひは何に仮装するんだ?』

政宗があさひの背中を見ながら声をかける。

「ええ、内緒だよ。楽しみに待っててよ。」

含み笑いをしながら政宗に応えるあさひの後ろから、咲が呟いた。

『…先に信長様に謝った方がよろしいかと。』

「えっ、なんで?」

『…あさひ様のなさる仮装は、些かやり過ぎかと。』

「…えぇ。うーん、わかった。
信長様、先に謝ります。ごめんなさい。」

秀吉と書簡や文をまとめ始めていた信長が顔を上げる。隻眼となった信長の瞳が揺らめき、眉が上がる。

『どういうことだ?』

「えっと、…咲が最初ダメだって言ったんですけど、私がやりたくて無理を言いました。」

『咲が止めたって、おい、あさひ。なにやるんだよ?』

白い羽織にようやく袖を通した秀吉があさひに向かって声をかける。

『仕置きは…、受けますから。ねっ。』

『ほう、仕置き前提か。』

黄色に羽織の光秀が顎に手を当て悪戯に笑い始めた。

『貴様…』




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