第12章 嫉妬渦巻く仮装の宴 前編
くじの結果に一喜一憂する武将達に苦笑いをしながらあさひは考えた仮装の祭りについて話始めた。
「まず、祭り当日は朝げを皆で広間で食べて、その後軍議として人払いをします。そこで、皆で皆になりきります。着替えは私と…、咲でお手伝いします。」
『えぇっ、私もですか?』
「あ、うん。やだ?」
『いっ、いえ、…かっ、畏まりました。ふふっ。』
『咲、何笑ってんの?』
「家康、恨みっこなしでしょ?咲に当たらないで!」
『ふっ、家康。諦めよ。』
『…はぁ。』
「着替えが終わったら、夕げの宴までその仮装で一日を過ごして…」
『はぁ?一日ずっと?』
『『家康!』』
「ふふっ。一日を過ごして政務で来る家臣さんにお菓子を渡し労いの言葉をかける。
宴を仮装のままで楽しみ、お開き。
…いかがですか?信長様?」
『ふっ、良いな。面白そうだ。座り順も其のようにいたそう。』
『なっ、上座など滅相もない!』
『秀吉…』
「まぁまぁ、お祭りだからねっ!楽しもう?」
『して、貴様は何に化けるのだ?』
「あ、えぇっ、私もいいんですか?」
『あぁ、貴様の発案だ。好きに化けろ。』
「好きに…、!じゃあ、ちょっと憧れてたやつにします。」
『ほう、なんだ?』
『あさひが憧れるなんで、気になるな。』
「内緒です!宴までに仮装しますから、楽しみにしてくださいね!」
あさひの満弁の笑みを見た信長を初めとする武将達は、詳しく聞かず期待をすることにした。
しかし、この仮装祭りが安土を混乱と嫉妬の宴となるのだった。
※
『…それで、あさひ様は何に仮装されるのですか?』
策を練る、と話したあさひは咲と共に自室で座っている。
「あのね、ずっと前にちらっと見たんだけど…」
『はぁ?なっ、あさひ様。それは!』
「だめ、かなぁ?」
『だめ、と言うより…嵐の予感がいたします。』
「嵐?」
『えぇ、その仮装は想像を越えております。』
「でも、好きに化けろって信長様も言ってたし。準備出来ないくらい?」
『…どうにか、準備は出来ますが…』
「じゃあ、お願い!やってみたかったんだ!」
『…はぁ。知りませんからね。』
咲は、宴で見せる信長の顔を思い浮かべため息を着いた。