第11章 同じ釜の飯を
ー翌日、昼。
『…!これは、あさひ様!どうなさったのですか?』
「明日の朝げのあと、厨を貸してほしいんです。
みんなの昼の支度をやりたくて。」
『あさひ様がですか?』
「はい。ただ、ご飯を炊くのと釜戸の使い方が良くわからないので、出来ればそこは一緒に…」
『勿論です!奥方様に火傷をされては叱られますから!』
「…私だけじゃないけどね。」
『は?』
「あ、いえ!それより、野菜とかを見せてくれませんか?」
『は、はい。こちらです。』
あさひは、料理番の後を追い厨の奥に進んでいった。
『あいつ、何やってるんだ?』
『…政宗さん。なにか?』
『あさひが厨に入っていった。』
『…また何かやるんですかね?傷や火傷なんてしたら…はぁ、迷惑。』
軍議が終わり、広間から出た政宗と家康は厨を見ながら話始めた。
『あさひがどうかしたのか?』
『また何か始める気なのか?見ていて飽きぬな。』
『いつも
あさひ様は想像を越えることをなさいますね。
戦術も見習わなくては。』
『…三成。何でも戦術に結び付けるあんたが羨ましいよ。』
『お褒めいただき…』
『微塵も褒めてないから。』
『何するんだろうな。危ないことだったらいけないからな。聞いてくる。』
『兄様は忙しいな。』
『…、み、光秀!貴様、どこ行く!』
『見回りだ。』
『本当に見回りに行くのか?』
『さぁな。』
『さぁなって!お前はいつも単独行動で!将というのはな、兵の見本となって…』
『家康、政宗。いくぞ。』
『はい。』『あぁ。』
『っ、おい!お前達!ったく、話はちゃんと聞け!
そういうのが将としてなぁ…』
光秀、政宗、家康をバタバタと追いかける秀吉と、ゆっくり後を追う三成を、信長は横目で見ると気配がなくなったのを確認し、厨に向かって歩きだした。
『…あったか?』
『の、信長様!』
料理番が平伏す姿を手で制しながら、厨にいる
あさひに声をかけた。
「はい。野菜ありました。あと…」
『なんだ。』
「お豆腐があるといいですね。」
『食後には茶をたてることにする。』
「え?」
『あやつらをもてなす、のだろう?
貴様も食後には甘味を欲しているではないか。』
「でも、甘味まではつくれないですよ?」