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暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第8章 今日も明日も、明後日も


『信長様は、安土城主。簡単に謝るのは…
でもな…、あさひは信長様の正室だしな…
甘味か、あまり高価ではない髪飾り等を選び、…謝りましょう。』

秀吉は、信長を仰ぎ見る。

『わかった。貴様らも付いてこい。』

『な、え。どちらに?』

『城下に決まっておろう。髪飾りなど、城にはない。あの場にいたのだ。貴様らも選ぶのを手伝え。』

『くっ、では共に詫びることといたしましょう。』

『お手伝い致します。』

『おや、秀吉は行かぬのか?』

『み、光秀!お前のせいだろ? ふざけすぎだ!
お、お待ちください!信長様!』

慌ただしく、城主と武将達が広間から立ち去っていった。





四人が城下に向かって行った頃。
あさひは自室で俯いたまま座り込んでいた。
咲が後ろから声をかける。

『あさひ様。』

「お咲。あの時、髪をおろすようにすすめたのは、この事だったのね。」

『はっきり申し上げられず…』

「いいの。結い上げたのは、暑かったからなんだし。
…でも、夜の事を皆に言って欲しくなかったな」

『…弥七から聞きましたが、信長様をはじめ、皆様があさひ様に贈り物を探しに行かれたと。』

「贈り物? なんで?」

『あさひ様のご機嫌をなおすため、でしょうか。
ふふふっ。』

泣く子も黙る安土の武将が一人の姫の機嫌とりに奔走する…、そんな滅多に見られない光景に咲は心底楽しんでいた。

『あさひ様、どうなさいますか?』

「どう、って?」

『夜の情事は、二人だけの秘密にしておきたい、そうお考えなのはわかります。
それを、戯れにお話しなさった殿方達からの贈り物…
簡単に受け取られ許される事で宜しいのですか?』

「…でも、相手は信長様だし。」

『…。あさひ様!もう少し我が儘になられませ!』

「さ、お咲? どうしたの?」

あまり聞きなれない咲の大声に、あさひは目を丸くした。

『信長様に、何かして欲しいことや言ってほしいことはないのですか?』

「え、急に言われても…」

『あさひ様が秘密にしておきたかった事を少しでも言われたのです。あさひ様も、信長様の秘密や何かをお話しなさってはいかがですか?』










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