• テキストサイズ

暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第8章 今日も明日も、明後日も


『あさひ。お前、信長様によほど可愛がれているのだな。』

「え?」

『光秀、お前は、また!』

光秀は、意地悪な笑みと共にあさひにわかるように己の首筋を、とんとんと叩いた。

「えっ?」

『ふっ、光秀。あさひはわかっておらぬ。その華は抱き尽くしてから付けたのだからな。』

信長もまた意地悪な笑みと共に言う。

あさひは漸く話が繋がり、顔を赤らめ両腕で首筋を隠した。

『うなじもだ。後ろから抱いた時に付けた。貴様は其どころではないだろうがな。』

信長の一言に、あさひは俯き下唇を噛み締めた。
そして、上座の信長を睨み付けるように見た。

(夜の情事は、二人だけの時間、秘密にしたかったのに。)

いつのまにか握りしめた手に力が込められた。

『信長様、御戯れが過ぎます!』

『ふっ、今宵も沢山啼かし愛でてやる、機嫌を直せ。あさひ』

「…っ!もぉ、やだ。 …最低!」

あさひは、小さく呟いた。

『な、に?』

「信長様なんて、 だいっきらい!」

あさひの声は広間に響く。
バタバタっと、あさひはそこから駆け出した。

『あさひ様!』

咲もまた、あさひの背を追い掛けた。




広間には、先ほどまでと比べようのない静寂が訪れた。
秀吉は、額に手を当てため息をつく。
三成は、広間襖に手をかけ、おろおろと、秀吉とあさひの行く先を交互に見ていた。

『ふざけ過ぎましたかな。』

『はぁ、光秀、お前は。』


『だいっきらい、か。』

ぼそりと、信長の声が響いた。
すると、それに続き、襖に手をかけていた三成が姿勢を正し座り直すと、頭を下げながら話始めた。

『畏れながら。』

『なんだ、三成。申せ。』

『は。先日読んだ書物からの知恵ですが…
女子というものはあまり夜の情事を話したがらないと。夜のは、二人だけの時間。秘密にしておきたいと思うようです。』

『二人だけの秘密か…』

ふぅ、と信長がため息をついた。

『秀吉、光秀、三成。知恵を貸せ。』

(光秀はともかく、俺もかよ。)
秀吉は、そう思うと光秀を睨み付けた。

『…謝るしかないのでは?』

あっさりと三成が信長に話すと、光秀が吹き出すように笑い始めた。





/ 146ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp