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暁の契りと桃色の在り処 外伝 【イケメン戦国】

第8章 今日も明日も、明後日も


その日も、いつもと同じように軍議に末席から参加していた。
…といっても、家康と政宗が国に戻っているから、広間には信長様、秀吉さん、光秀さん、三成くんと私だけ。
廊下には咲が控えてくれている。

『もう信長様の正室になるのだから、』と上座を促されるけれど、光秀さんの指南も続いてるし、まだまだ知らないことばかり。
末席で聞いている方が安心すると、頑なにこの場所にいた。

軍議が終わりになる頃合いを見て、お茶とお茶菓子を出すのは私の仕事。
今日も静かに席を立ち上がると、襖の外に控える咲と準備を始めた。

「今日も暑いね!」

『もうじき本格的な夏になりましょう。まだまだ暑さは続きますよ。』

「はぁ、髪上げちゃおっかな。」

私は手慣れた手付きで、おろしていた髪を束ね頭の上にまとめた。
現代で言うお団子へア。

『まぁ!あさひ様!そんなに肌を出されては!』

「まぁーた始まった。お咲のお姫様じゃない発言。
お咲は知らないかもしれないけど、この髪型、何回かやってるよ? なにも言われてないから大丈夫。」

『そう言われましても…』

「少し涼しくなるし、楽だから! ねっ!」

『はぁ…。…!!』

ため息混じりに認めてくれた咲が、また目を見開いて顔を赤らめている。

「…、だから大丈夫だってば! どうしたの?
お茶、運ぼう? お咲はお菓子ね。」

『あさひ様! やはりやめましょう?
髪を下ろしましょう?』

「なんでよ。大丈夫。ほら、いくよ!」

『…っ、あさひ様!お待ちください!…もぉ。』
(知りませんよ!見られても!)

咲の話をよく聞いておけば、と後悔したのはそれから数刻も経たずに訪れた。





「お茶をお持ちしました。今日も暑いので水だしにしてみました。」

『おぉ、ありがとう。』

「うん。秀吉さん、お菓子も甘過ぎない羊羮だよ。
食べてみてね。」

『あさひ様のお気遣いは、見習いたいものです。
ありがとう…、ございます。』

『あぁ、三成。あさひはよく気が利くからな。
…どうした?三成、なに見て…   あっ!』


二人の会話を聞きながら、光秀と信長はニヤリと笑った。












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